支持と抵抗が生まれる理由
支持(サポート)は価格が下がる途中でよく止まった価格帯、抵抗(レジスタンス)は上がる途中でよく跳ね返された価格帯のことです。こうした価格帯ができる理由として、ふつう2つが挙げられます。1つは、過去に取引が多く集中した価格です。その価格で買った人が多ければ、価格が再びそこへ来たときに、買値で売ったり買い増したりする注文が出るかもしれないという解釈です。もう1つは、人々が覚えている価格です。以前の高値と安値や、10万ドル・1,000万円のようなきりのいい数字には注文が集まりやすいとみられています。どちらにしても、価格そのものに力があるのではなく、その価格を意識した注文があるかもしれないという意味です。
- 以前の高値・安値:一度方向が変わった価格
- 取引が集中した価格:価格帯別出来高が厚いところ
- きりのいい数字:末尾が0でそろう価格
線ではなく帯で引く
同じ抵抗に何度触れても、足ごとにヒゲの先は少しずつ違うところで止まります。長い上ヒゲを伸ばしてから戻る足もあれば、実体だけがその近くで終わる足もあります。そのため1つの価格に細い線を引くより、触れた足のヒゲの先と実体の端のあいだを帯として塗っておくほうが、実際の形に近くなります。帯で見れば、線を少し越えたかどうかでブレイクかどうかを議論することが減ります。ただし帯を広く取りすぎると、どこで止まっても帯の中で止まったように見えてしまうので、幅は触れた足が実際に散らばった分だけにします。
例: 上下で何度も止まった価格。触れた足(点)ごとにヒゲの先が少しずつ違うので、1本の線より、ヒゲの先と実体のあいだの帯で捉えるほうが実際の形に近くなります。
何度も触れた帯についての2つの見方
何度も触れて跳ね返された帯ほど目につきやすく、それだけ多くの人がその価格を意識するようになります。この点から、触れた回数が多い帯をより重要とみる見方があります。反対に、触れるたびにその価格に置かれていた注文が約定して少しずつ減っていくので、何度もたたかれた帯はかえって抜けやすくなるという解釈もあります。どちらももっともらしい説明ですが、どちらが正しいかを一般的に決める根拠は弱いものです。触れた回数は、その帯が目立っているという情報くらいに受け止めるのが無理のない見方です。
役割の転換:抜けた抵抗が支持に
抵抗だった帯を価格が終値で上抜けた後、再びその帯まで下がってきたとき、今度はその帯で止まって上がることがあります。これを、抜けた抵抗が支持に変わる役割の転換(ロールリバーサル)と呼び、逆に割れた支持が戻りの場面で抵抗になることもあります。ブレイクのときに買えなかった人たちが、その価格まで戻ってきたら買おうとする、といった説明がつきますが、いつもそうなるわけではなく、そのまま帯の下へ戻ってしまうこともあります。ブレイク後のリテスト(戻り)を確認の手段に使う方法と、その代償はブレイクとダマシの記事で扱います。
例: 役割の転換。3回跳ね返された抵抗帯を終値で上抜けた後(点線)、戻ってきた価格が同じ帯で止まりました。
ヒゲ基準と終値基準
同じチャートでも、人によって線の位置は違います。いちばん大きな違いは、ヒゲの先(高値・安値)に合わせるか、終値や実体に合わせるかです。ヒゲ基準は価格が実際に触れたところをすべて反映しますが、一瞬の急騰・急落1つに線が引っぱられます。終値基準は足が終わった位置だけを見るのでノイズが少ないものの、足の中で何度も跳ね返された価格を見逃すことがあります。どちらが正しいかより、1つに決めて使い続けることが大切で、帯で描けば2つの基準の違いは帯の幅の中に収まります。
- ヒゲ基準:触れたところをすべて反映、急騰・急落に引っぱられる
- 終値基準:ノイズが少ない、足の中の繰り返しを見逃すことがある
- 帯:2つの基準の違いを幅で吸収する
計算で決める価格:ピボットポイント
支持・抵抗を目ではなく式で決める方法もあります。基本形のクラシック・ピボットポイントは、直前の足(ふつうは前日)の高値H、安値L、終値Cから、基準値Pと上下の価格を計算します。たとえば前日の高値が110、安値が100、終値が106なら、Pは約105.33、R1は約110.67、S1は約100.67です。暗号資産は24時間取引されるので、前日の足がいつ終わるか(バイナンスの日足はUTC 0時、日本時間の午前9時)によって値が変わります。式そのものに特別な根拠があるというより、多くの人が同じ式で同じ価格を見ていることが、この価格帯が注目される理由として挙げられます。同じ計算を前週や前月の足で行うと、ふつうはより広い範囲の価格が出てきます。サポート・レジスタンス自動検出ツールは、日次・週次・月次の値を並べて示します。
- P = (H + L + C) ÷ 3
- R1 = 2P − L、S1 = 2P − H
- R2 = P + (H − L)、S2 = P − (H − L)
自動検出ツールがしていること
サポート・レジスタンス自動検出ツールは、人が目でしている作業をルールに置き換えたものです。直近500本のうち確定した足から、左右5本(設定によって3本か8本)より高いスイング高値と低いスイング安値をすべて探し、互いにATR(平均トゥルーレンジ)の半分以内に集まったものを1つの帯にまとめます。スイングが多く集まり、しかも最近できた帯ほど強く数えます。どの価格に取引が多く集まったかは価格帯別出来高チャートが、大きな値動きの何パーセントの地点かはフィボナッチ・リトレースメントのツールが別に示します。ルールが決まっていて、引く人によって変わらないのが利点ですが、過去の価格が集まった場所を探すだけで、この先守られる価格を選ぶものではありません。
よくある誤解:後から見るとよく当たる線
過去のチャートに支持線と抵抗線を引いてみると、価格が線で何度も止まったように見えがちです。そもそも止まったところを選んで線を引いたからです。逆に、線を引いた後で価格がその線をあっさり通り過ぎた場面は記憶に残りにくいものです。また価格はいつもどこかで止まるので、線を多く引くほど、そのうちのどれかで止まる確率は自然に高くなります。支持・抵抗は「ここで止まる」という予測よりも、価格がその帯を通り過ぎたときに最初の判断が間違っていたと気づくための基準として使うときに、役割がはっきりします。
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